2025年の天皇賞・春(GⅠ)は、1番人気のヘデントール(D.レーン騎手)が優勝。
2着には6番人気のビザンチンドリーム(A.シュタルケ騎手)、3着には昨年の菊花賞4着馬ショウナンラプンタ(武豊騎手)が入りました。
終わってみれば、1〜3着を外国人ジョッキーとレジェンドが独占。
まさに「長距離戦は騎手で買え」という格言を体現したような一戦でした。
■レース結果(着順表)
着順 | 馬名 | 人気 | 騎手 |
---|---|---|---|
1着 | ヘデントール | 1番人気 | D.レーン |
2着 | ビザンチンドリーム | 6番人気 | A.シュタルケ |
3着 | ショウナンラプンタ | 4番人気 | 武豊 |
4着 | サンライズアース | 2番人気 | 池添謙一 |
5着 | マイネルエンペラー | 8番人気 | 丹内祐次 |
6着 | ジャスティンパレス | 3番人気 | 鮫島克駿 |
■各馬短評
▼1着:ヘデントール(D.レーン)
1着:ヘデントール(D.レーン)
京都開催における春天直近8レースの傾向では、
・前走G3:0-1-0-24
・前走ハンデ戦:0-2-0-21
・前走左回り:0-1-1-19
と、いずれも凡走が続いていた中で、前走ダイヤモンドS(G3・左回り・ハンデ戦)組の本馬が1着に突入したのは驚き。
過去データを跳ね返す勝利に、「外国人騎手の前ではデータも無力」と痛感する一戦だった。
競馬センス、持久力、折り合い、すべてが高水準で揃っており、D.レーンの完璧な騎乗も相まって、現時点でのステイヤー頂点に相応しい内容だった。
▼2着:ビザンチンドリーム(A.シュタルケ)
**前走ハンデ戦[0-2-0-21]、前走左回り[0-1-1-19/21]**と、いずれも好走例が少ないローテに該当。
さらに前走が海外G2ということもあり、評価の難しい存在ではあった。
それでも、昨年の菊花賞では5着ながら最速の上がりを記録していたように、もともとポテンシャルの高い馬。
この春天でもその末脚を活かして、ゴール前で勝ち馬に迫る好走を見せた。
位置取りや展開次第では1着も狙えた内容だった。
▼3着:ショウナンラプンタ(武豊)
過去10年(阪神開催含む)の春天では、
**前走4角7番手以下の馬は[0-2-0-59]**と苦戦傾向にあった中での好走。
前哨戦・阪神大賞典では1番人気を背負いながら、スローペースの前残り決着に泣き4着。
それでも上がり2位の末脚を繰り出しており、能力の片鱗は見せていた。
ここでも道中8番手からしっかり脚を伸ばし、力のあるところは見せた印象。
▼4着:サンライズアース(池添謙一)★本命馬
本命視した1頭だったが、結果的には力を出し切れなかった印象。
データ的には大きな不利は見当たらなかったが、過去10年(阪神開催含む)の春天勝ち馬は全て芝3000m以上のGⅠで3着以内の実績があったのに対し、
この馬はその条件を満たしていなかった点は見落としだった。
さらに今回は、道中でハミが抜けるアクシデントもあり、早い段階から追っつけ通しになる厳しい展開。
能力は感じさせるが、まだ安定して力を出せるタイプではなく、性格面の難しさも見え隠れする。
今後も人気になるようなら、馬券的には扱いが難しい1頭と言わざるを得ない。
▼5着:マイネルエンペラー(丹内祐次)
道中2番手から自分の競馬に徹したが、今年の春天は差し・追い込み勢が上位を独占する“前が残らない展開”。展開が合わなかった可能性もある。
それでも直線入り口まで粘りを見せ、日経新春杯(G2)3着、日経賞(G2) 1着の実績からも一定の地力は感じさせた。
ただし、芝3000m以上GⅠでの好走歴なし、さらに「明け5戦目以上【0-1-1-19】」の消耗ローテに該当。
追い切りでは動けていたものの、疲労の蓄積か単純な地力差か。今回は条件が揃わなかった印象。
とはいえ、父ゴールドシップ譲りのスタミナを感じさせる内容で、
宝塚記念のようなタフな舞台に出走してくるなら、改めて注目したい一頭。
▼6着:ジャスティンパレス(鮫島克駿)
向こう正面から早めに動いていったが、結果的に脚が残らず自滅したようにも映る内容。
これが騎手の判断ミスなのか、それとも馬の反応によるものかは判断が分かれるが、力を出し切ったとは言い難い。
また、キャリア10戦以上かつ前走2着以下【0-6-3-86】という好走率の低いデータにも該当しており、
さらにディープインパクト産駒の牡馬6歳以上のGⅠ勝利が極端に少ないという血統面の傾向も不安要素だった。
仮に道中うまく立ち回れたとしても、2〜3着が精一杯だった可能性は高く、1着までは難しかったか。
総合的に見ると、ピークは過ぎてしまった可能性がある。
■総評
“長距離戦は騎手で買え”──この格言をそのまま体現したような一戦。
折り合い・位置取り・仕掛けどころ、全てが問われる中で、実力馬たちが概ね順当に結果を出した印象だが、「能力を出し切れなかった馬」がいたことも確か。
そして勝ち馬ヘデントールのように、近年のデータが全く後押ししないローテ・条件から勝ち切ったケースもあり、
「外国人騎手の手にかかれば、過去データすら意味をなさない」という事実も改めて印象づけられた。
✅ 春のクラシックシーズンはまだまだ続きます!
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